インフルエンザ予防接種について
2022年10月17日(月)より、池川内科神経内科ではインフルエンザ予防接種を開始します。ご予約はお電話にてお願いいたします。
今年はインフルエンザの流行が予想されています。以下、日本感染症学会HPより引用いたします。
1. 2022-2023年シーズンは、インフルエンザの流行の可能性が大きいです
北半球の冬季のインフルエンザ流行の予測をするうえで、南半球の状況は参考になります。オーストラリア政府は定期的にインフルエンザの発症状況を報告しています5)が、2020年および2021年は、わが国同様、インフルエンザ患者は極めて少数でした。しかしながら、2022年は4月後半から報告数が増加し、例年を超えるレベルの患者数となっており、医療の逼迫が問題となっています。今後、海外からの入国が緩和され人的交流が増加すれば、国内へウイルスも持ち込まれると考えられ、わが国においても、今秋から冬には、同様の流行が起こる可能性があります。
一方、過去2年間、国内での流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下していると考えられます。そのため、一旦感染がおこると、特に小児を中心に社会全体として大きな流行となるおそれがあります。
このようななかで、6月22日、東京都内の小学校において、2年3か月ぶりにインフルエンザによる学年閉鎖が発表されました6)。冬季のシーズンに入る前に、このような季節外れの流行が起こる可能性もあります。
2. A香港型の流行が予想されます
2021-2022年には、欧米では、インフルエンザウイルスのタイプのうち、主としてA香港型と呼ばれるウイルスによる流行がみられています。中国でも、今年になってA香港型が増加しています4)。また、オーストラリアで本年度に検出されたインフルエンザウイルスの型が判明したもののうち、約80%がA香港型でした。そのため、今シーズンは、わが国でもA香港型の流行が主体となる可能性があります。A香港型が流行すると、インフルエンザによる死亡や入院が増加することが知られているので、特に警戒が必要となります。
3. 今季もインフルエンザワクチン接種を推奨します
インフルエンザワクチンには、4種類(A型2種類、B型2種類)のウイルス型が含まれており、A香港型もそのうちの一つです。一般に、ワクチンは、発症予防効果とともに重症化防止効果が期待できます。欧州からの報告では、65歳以上の高齢者において、ワクチンを接種した場合は、接種しなかった場合に比べて、A香港型感染による入院を抑制したと報告されています。
また、わが国においてはCOVID-19の発症者は再増加が続いています。そのような中で、ワクチンで予防できる疾患についてはできるだけ接種を行い、医療機関への受診を抑制して医療現場の負担を軽減することも重要です。
よって、当委員会は、今季も例年通りに、小児、妊婦も含めて、接種できない特別な理由のある方を除き出来るだけ多くの方に、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨します。
4. ワクチン接種が是非必要な人
ワクチン接種が是非必要な人は、65歳以上の高齢者、5歳未満のお子さん、そして年齢には関係なく、心臓や肺などに慢性の持病のある方、悪性腫瘍で治療中の方、高度の肥満の方です。また、これらの方と一緒に生活されておられる方、学校や職場で人との接触の多い方も積極的に受けて頂きたいと思います。
65歳以上の高齢の方は、インフルエンザから肺炎を起こすリスクが高いので、是非ワクチンの接種を受けて下さい。忘れてはいけないのが、小さなお子さんです。インフルエンザが流行すると、たくさんのお子さんが高熱を出して、救急外来を受診します。中には、気管支炎、肺炎、熱性痙攣などで入院することもあり、稀にインフルエンザ脳症をおこすこともあります。最近2年間、インフルエンザが流行しなかったので、特に小さなお子さんでは免疫が低下していると思われ、ワクチン接種はとても重要となります。
5. 例年通りのインフルエンザ対策が必要です
今季は、発熱された患者さんでは、ワクチン接種歴に関わらずCOVID-19とインフルエンザを見分けることが重要となります。また両者が合併して重症になる場合もあります。したがって、発熱者では両方のウイルスに対する検査が必要となることがありますので、医療機関の受診をお勧めします。
インフルエンザと診断されたときは、抗ウイルス薬による治療を検討することとなります。抗ウイルス薬は、インフルエンザの重症化、死亡を抑制します。高齢者、小さなお子さんなど重症化のリスクのある方は当然治療の対象となりますが、リスクを持たない健康な人でも重症化することはあり、その予測は困難です。
インフルエンザに対しては、他の呼吸器感染症と同様に、一般的な予防も大切です。手洗い、マスク、咳エチケットを普段から心がけることが重要です7)。
わが国のインフルエンザ診療は、早期診断、早期治療の体制が確立しており、世界の中でも進んだ国の一つと言えます。国民全体が、従来通りのインフルエンザ対策を行っていただきたいと思います。
引用終わり。
新型コロナウイルスは当初病原性が強く、危険視されていましたが、オミクロン株やBA.5を経て弱毒化していきました。これはウイルスの進化として適切な“適応“と考えることができます(病原性が強いと感染した宿主が、他の個体に感染させる前に死んでしまい、自己増殖ができないため)。
しかし、インフルエンザは従来より危険なウイルスであり、ここ2年感染は見られなかったですが、それまでのシーズンでは毎年死亡例も一定数存在していました。
インフルエンザは良い抗ウイルス薬があるとはいえ、かからないことに越したことはありません。手洗い・うがい・人混みではマスクを着用し、ワクチン接種もしっかり行いましょう。
ご質問などございましたら、お問い合わせフォームよりよろしくお願いいたします。
参考文献
- Johns Hopkins Coronavirus Resource Center. COVID-19 Map
https://coronavirus.jhu.edu/map.html - 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症国内発生動向
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html - 国立感染症研究所. 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数.
https://nesid4g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data2j.pdf - World Health Organization. FluNet.
https://www.who.int/tools/flunet - Australian Government Department of Health. Australian influenza surveillance report No. 07, 2022.
https://www1.health.gov.au/internet/main/publishing.nsf/Content/8475D410D4090874CA2588780083317A/$File/flu-07-2022.pdf - 東京都教育委員会. 都内公立学校のインフルエンザによる学年閉鎖について.
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2022/release20220622_02.html - 日本呼吸器学会. ストップ!肺炎(一般用).
https://www.jrs.or.jp/activities/guidelines/file/stop_pneumonia_2021.pdf