どのような運動がいいのか(2)

前回は「心拍数を意識した運動の大切さ」や「健康的に痩せるための運動強度」についてご紹介しました。
今回はさらに進んで、ウォーキングとランニングの違いについて解説します。


運動の選び方は「目的」で変わる

「ウォーキングとランニング、どちらが良いのですか?」
よく聞かれる質問です。これに対する答えは一つではありません。
何を目的にしているかによって、選ぶべき運動は変わってきます。

たとえば、マラソン大会への出場を目指している人にとっては、ランニングのトレーニングが欠かせません。ウォーキングでは心肺機能や脚力が不十分です。
また、同じ時間運動する場合、消費カロリーはランニングの方が明らかに多くなります。

しかし、注意すべき点もあります。
ランニングでは、消費されるエネルギーの一部に筋肉も含まれるため、筋肉量を維持しながら脂肪だけを落としたい人には、ウォーキングの方が適していることもあります。
とはいえ、筋力トレーニングと組み合わせることで、ランニングも安全かつ効率的にダイエットに役立てることができます。


ウォーキングの優位性

ランニングが理想的だとしても、実際にはできない日もあるでしょう。

仕事が立て込んで時間がとれない日もあるでしょう。
前日に張り切りすぎて足が重かったり、膝に違和感が残っていたりすることもあります。
筋肉痛がひどくて階段を下りるのもしんどい朝。
食後すぐに走ると胃が重くて気分が悪くなることもありますし、週末に飲みすぎて体がだるい朝もあるかもしれません。
そして何より、「今日はちょっと気分が乗らないな……」という日もあります。

こうした日常の中で、完璧なランニング習慣を保つのは、想像以上にハードルが高いのです。

そんなときでも、ウォーキングなら誰でも、いつでも実行できます。
お腹いっぱいでも、頭が少しぼーっとしていても、家の中でも行うことができます。
「できない理由」が通用しない運動、それがウォーキングです。


運動を控えるべき状態もある

ただし、すべての人が自由に運動してよいわけではありません。
以下に当てはまる方は、必ず医師に相談してから運動を始めましょう。

  • 血圧が高く(特に上が180ミリ以上)、安定していない
  • 心筋梗塞や心不全などの心疾患がある
  • 糖尿病のコントロールが不良(空腹時血糖値が250mg/dL以上、ケトン体陽性など)
  • 眼底出血や出血の可能性がある網膜症がある
  • レーザー治療後間もない網膜症(3〜6か月以内)
  • 腎機能が悪化している(男性でクレアチニン2.5mg/dL以上、女性で2.0mg/dL以上)
  • 高度な糖尿病性自律神経障害がある
  • 1型糖尿病でケトーシスがみられる場合

運動を継続するための工夫

ウォーキングを続けるうえでおすすめなのが、ウォーキングパッドの購入です。
室内で手軽に歩ける機器で、最近は2万円前後で手に入る製品も増えています。
天候に左右されず、自宅でテレビを見ながらでも歩けるので、日常の中に運動を組み込みやすくなります。


目標は1日15,000歩

日本人の1日の平均歩数は、だいたい5000〜7000歩といわれています。
健康的に痩せるためには、最終的に1日15,000歩を目指しましょう。


運動レベル別の実践プラン

運動習慣がない方、忙しくて時間がない方

まずはウォーキングから始めましょう。段階的に歩数を増やしていくのがポイントです。

  • 1〜2週間目:1日8,000歩以上を目標に
  • 2〜4週間目:1日10,000歩以上を目指す
  • 4〜6週間目:1日12,000歩以上を継続する
  • 6〜8週間目:最終的に1日15,000歩以上へ

歩数を増やすための15のコツをまとめた資料もありますので、ご希望の方はチェックしてみてください。


運動習慣がある方、やる気のある方

ランニングを取り入れることで、消費カロリーを大きく伸ばすことができます。
ただし、筋肉もエネルギー源として使われるため、筋トレとの併用がとても重要です。

  • 1週間目:週2回の全身筋トレ、1日8,000歩以上のウォーキングまたはジョギング
  • 2〜3週間目:週2回の筋トレ、1日10,000歩以上の運動
  • 3〜4週間目:週3回の筋トレ、1日12,000歩以上の運動
  • 4週間目以降:週3回の筋トレ、1日15,000歩以上の運動を習慣に

まとめ

  • ウォーキングもランニングも、それぞれの良さがあります
  • 目的や体力に応じて、無理なく続けられる運動を選びましょう
  • 病気や体調によっては、運動が適さない場合もあるので、心配な方は医師に相談を
  • 継続がカギです。まずは今日、5分歩いてみましょう

次回は、「筋力トレーニングをどう取り入れるか」や「日常生活に運動を組み込むテクニック」についてお話しする予定です。
健康的に痩せたいすべての方へ、実践的な情報をお届けします。

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